きっとこれが、春の味(すずしょう 天竜品種茶58-1)

シャレオツ目指してみた(はりねずみ)
シャレオツすぎてびびった…(にゃじるし)


今回は、少しマニアックな緑茶のご紹介である。緑茶の味は決して濃くなく、二煎目で少し弱まってしまう。けれど、奥ゆかしい香りと、麗しい味がたまらない。少し黒みが掛かった針のような茶葉は、見ているだけで美味しそうだ。






親しみやすい『天龍茶 ず印(今更ですが、ず印、って何なんでしょうね…)』と比べると、こちらは滅多に姿を見せない清廉な箱入り娘といった具合の秘茶である。袋を開けると何とも言えないいい香りがして、暫く開けたまま嗅いでしまう。こういう香水があったら使いたいかも。



素人テイスティングで掴えられたのは、籾殻の香り、桜の葉、かしわもち。内向的ながら官能的な煎茶で、香り、味、後味が何回か口の中で変わっていくのを楽しめる。最後に滲み出るように舌の上に残る渋みが、謎めいていて素敵だ。ただ、決してマニア好みの味、という程、偏った味わいではない。専門店で友人と飲んでああだこうだ言いながら飲んだら楽しいだろう。特に甘い和菓子を添えたら、応えられないだろうな。



ふと、この緑茶が作られた一年前の、コロナ感染者が増えて怯えていた春を思い出す。天竜地域でも色々と大変だった筈だが、そんな事は微塵も感じさせない、たおやかな緑茶である。せめて緑茶を飲んでいるときだけでも一息ついてほしいという、生産者の祈りが込められているように感じた。



これから新茶の季節。すずしょうさん、今年のお茶も楽しみに待ってます。

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